さて、ミシンの話。

2019.02.04 Monday

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    この話題は多分今までにも何度かブログで書いているので、

    昔々からのディープなお客様にとっては

    「ああ、またこの話か。」ってなるかと思うので、かるーくスルーして頂いて大丈夫と思います(笑)。

     

    生地のことや縫いのこと、今となっては私は詳しいです。

    「詳しい方」ではなく、「詳しい」です。かなり。

    と、相変わらず自己主張が強いWildberry店主オガワです。

    みなさんハッピーニューイヤー。

    春節ですね。

    今日から新しい年の始まりですね。(旧暦で)

     

     

    でね、

    どんなことでも最初からプロなんていませんよね。

    最初から詳しい人なんていません。

     

    私も最初は超ど素人でした。

    ど素人のくせにいきなり商売なんか始めちゃったから、

    まあ毎日心臓がちぢみあがるような思いの連続でしたよ。

     

    まあ要するに失敗に次ぐ失敗で、

    そのたんびにお客様に謝ったり怒られたり陰口言われたり

    毎日毎日、毎瞬間毎瞬間がジェットコースターの最初の急降下直前のような気持ちでしたよ。

     

    そのたんびに、

    「ああ、いつかはこの恐怖感をさらっとやり過ごせるようになるのだろうか。。。」

    「もしそうなのだとしたら、早くそうなりたい。心臓がもたない。。。」

    と思っていたものでした。

     

    まあ、そんな風に落ち込むことが多かったのですが、

    続けてこられたのは多分縫製という絶好の気晴らしがあったからなんじゃないかなあと思いますよ。

    縫製をしているときは本当に困ったことも落ち込んだ気持ちも全部忘れて没頭できました。

     

    脳内にはドーパミンが出まくっていて、

    まさに「縫製ハイ」の状態になっていましたよ。

     

    私が最初に使っていたミシンは家庭用のジャノメか何かの家庭用ミシンでした。

    当時の購入価格で6万円弱ぐらいだったんじゃないかな?

    カタログ価格ではもっと高かったはずだけど、

    結構割引してくれたような気がします。

     

    自分的にはかなり「ふんぱつした」つもりでした。

    最初は9800円ぐらいのミシンを買おうと思っていましたが、

    ミシン屋さんに「こんな安いミシンじゃあすぐに使えなくなっちゃうよ。お金捨ててるみたいでもったいないからやめときな。」

    と言われ、

    「じゃあどんなのがいいの?」と聞いたら

    「これぐらいの値段だせば子供がお嫁に行く時まで使えるかな。」

    と言われて

    「じゃあそれ。」と言って購入したものでした。

     

    なので自分の中では

    「自分の持っているミシンは良いものだから、長く使える。」と思っていました。(めでたいですね)

     

    でも、

    「縫製ハイ」に陥っていたその時の私は

    ある日無茶な使い方をしてミシンの針を折ってしまいました。

     

    水平釜だったので、釜の下に折れた針が入り込んでしまい、

    それっきり縫えなくなってしまいました。

     

    すぐに禁断症状が出始めました。

    一刻も早くミシンを治したい!

    という思いで必死でした。

    その時にポストに入っていたチラシの中に

    「ミシン修理します。1000円。」

    というものを目にして飛びつきました。

    すぐに電話して修理に来てもらいました。

     

    それがその後長くお付き合いすることになったJUKIとの出会いでした。

     

    翌日来てくれたサービスマンにミシンを見せたら、

    「釜が傷ついちゃってるし、タイミングもずれちゃってるから、釜を交換したほうが良いかも。」と言われました。

    釜の交換、お値段を見積もってもらったら3万円前後だったと思います。

    「高い〜!!本体を買った時の半分だよ!」と非常にビックリしました。

    そこで釜の交換をするべきかどうか悩んでいたら

    サービスマンのお兄さん、

    「この程度のミシンだったら、激しく使う人だったらまたすぐに故障すると思うよ。」と言い出しました。

     

    「こ・の・て・い・ど?」

    私のミシンは良いミシンのはずなのに、

    この人「この程度」って言った?

     

     

     

    無知ですね。

    最初は誰しも無知なんですね。

     

     

     

    半ばヤケクソになって来た私は

    「じゃあ激しく使っても壊れない、この程度じゃないミシンってどんなの?」

    と聞きました。

     

    ああ、好奇心ですね。

    自分が無知だと知ったので、知りたくなっちゃったんですね。

    ズブの素人だから。

     

    そこで私は初めて

    「職業用ミシン」というものがあるのを知りました。

    でも職業用ミシンは直線縫いしかできないので、

    ボタンホールを縫うために別に家庭用ミシンもスタンバイしておかないといけないことを知りました。

    職業用ミシンに家庭用ミシン。。。

    そんなに買うお金ないよ。。。

    そんなに沢山置く場所もない。。。

     

    途方に暮れてしょんぼりしてしまいました。

    するとそのサービスマン、

    「良い家庭用ミシンを一つ買い換えてくれたら、古いけど職業用ミシンみたいに使えるミシンを一つおまけしちゃう!」と言い出しました。

     

    一台買うともう一台!

    テレビショッピングか!

    とめっちゃツッコミを入れたくなりました(笑)

    でもきっと、それが一番良い方法なのかもしれないなあと思いました。

     

    で、言われるままに

    「良いミシン」を契約しました。

    JUKIのジュレーブという当時最高位だった刺繍ミシンです。

     

    そしておまけでもらったのは、

    サービスマンたちの技術研修で修理用に使用する古いミシンで、

    下取りなどで引き取って来たミシンでした。

     

    そのミシンがその後の私の縫製人生をガラッと変えちゃいました。

     

    というのも、

    ジュレーブよりもそのおんぼろミシンの縫い心地の良いことったら夢のようでした。

    どんなに高速で縫っても本体がガタつかず、縫う音も「シュー!」という感じです。

    そのオンボロミシンはJUKIのHZL7500という非常に地味なミシンでした。

     

    ボビンが工業用と同じ、少しスリムなボビンで、

    「全回転釜」を採用していました。

    そしてステッチの種類が少なく、

    直線縫いに非常に特化したミシンでした。

     

    オンボロでしかもタダでもらったけど、

    それまで使っていた「良いはず」のミシンよりもずっと重量がありました。

     

    「ミシンの性能は中にある歯車の強度に大きく左右されるから、良いミシンはとっても重いんだよ。」

    と教えてくれました

     

    まんまと高いミシンを買わされた感もなくは無いのですが、

    私が当たったサービスマンが真正のメカオタクで、ミシンの構造や性質などについて

    非常に詳しくかつ分かりやすく沢山教えてくれました。

     

    まず家庭用ミシンは

    いろんなステッチが出来るという利点がある分、

    縫う時、

    針穴に針が降りる時に

    目で確認できるかどうかわからない程度にブレるんだそうです。

    そのブレが縫いにくさや縫いズレ、そして高速で縫った時の針折れもしくは針穴(ニット生地によく見られる、縫い目から生地が破れてくるやつですね)の原因になるのだそうです。

    なので、

    「縫う時に針が横にブレやすい家庭用ミシンで縫う時は、高速で縫っちゃダメだよ。」と言われました。

     

    車の法定速度じゃ無いんだからさ、

    高速じゃダメってなんじゃそら?

    とまたびっくりしました。

     

    「だって、車の速度計はその車が走れる能力の分だけ数字がついてるでしょ?

    目一杯アクセル踏んだら分解しちゃうような車なんてないでしょ?

    ミシンだって出るだけ速度出して大丈夫なようにできてるんじゃないの?」

    と聞いたら

    「ミシンはそうじゃないんだよ。一応スピードは出るように作られているけど、

    目一杯のスピードで縫ったら、安いミシンだったらギアがズレたり釜がズレたりするんだよ。他の部品が持たないの。」

    と言われました。

    そんなのってあるかいな?

    本当にびっくりしましたよ。

     

    まあ、無知でしたね。

     

    そんな押し問答をしているうちに、

    「まずね、そこまで高速で縫えるってことはもう家庭用使用の域を超えてるんだよね。

    ほぼプロレベルなの。なので、能力の高いミシンを使わないといけないの。」

    と言われました。

     

    え〜。こんなに高いミシン買ったのにまだ役不足だっていうの?

     

    と不満ブーブーの私に対してサービスマンは

    「工業用ミシンなんてね、すっごい重いんだよ。30kgぐらいあるんだよ?

    しかも一台50万円くらいする。

    直線縫いは直線縫い専用、

    オーバーロックはオーバー専用、

    穴かがりは穴かがり専用、

    カバーステッチはカバーステッチ専用、

    一台あたり30〜50万。

    その代わり、どんなに高速で縫ってもビクともしないし針穴だって開かない。

    そんなの無理でしょ?

    ミシンって本来すっごく高いものなの。

    それをご家庭で気軽に使えるように低価格化して、機能もいっぱい盛り込んだんだから、

    どこかで妥協してもらわないとミシン屋さんもやりきれないよ?」

    と言いました。

     

    禅問答、ミシン屋さんの圧勝ですね。

     

    当たり前ですね。

    向こうはミシンのプロ。本当のプロです。

     

    当時のJUKIはサービス拠点が全国にあって、その営業所ごとに腕の良いサービススタッフがいて、

    多少の釜ズレぐらいだったら

    その場で治して帰ってくれたので、

    すごく心強くて本当にありがたい存在でした。

     

    今は縫う人の人口がどんどん減ってしまって

    そんな経費かけてられないよってところでしょうね、

    ミシンの修理は修理センターに宅配便で送って、

    治ったら返送されてくるというシステムみたいですね。

     

    そういうシステムになってから、

    私のお気に入りのシンプルな家庭用ミシンは

    何度修理に出しても治って帰ってこなくなってしまいました。

     

    きっと買い替えを促すような方針なんでしょうね。

    悲しいけど仕方がないのでご苦労さんしました。

     

    で、今の工業用の本縫いミシンを買ったという訳なのです。

     

    そんなわけで教訓です。

    ミシンって元々はすっごく高いものだったので、

    今、お手頃価格で機能満載のミシンが一般的に出回っているのは

    ひとえにミシン屋さんたちの企業努力の賜物なんですね。

     

    なので、何か不都合や不具合が起きて

    ミシンの使い心地に不満を感じるようになったら

    自分の腕がミシンの能力を超えてしまったんだな、と理解して

    「職業用」を買いましょう。

    そして今まで使っていた家庭用ミシンはボタンホーラーとして余生をのんびり過ごしてもらいましょう。

     

    ちなみに私が非常に気に入ったシンプルで職業用ミシンのような使い心地の家庭用ミシンは

    代替わりしてしまって

    同じシリーズとして品番は残っているのですが

    使い心地は普通の家庭用ミシンに非常に近くなってしまいました。

     

    今も同じ使い心地だったら是非お客様にお勧めしたいところですが

    時代の移り変わりなんでしょうね。

    家庭用ミシンである以上、いろんな機能をどんどん盛り込まないと

    メーカー側としても「売りにくい」んでしょうね。。。

     

    残念。

     

     

    ちなみに当時購入したジュレーブはまだ現役です。

    でもものっすごく重いのでほとんど使っていません。

    (反物より重いものは持てない、って反物の方が重いか。)

     

     

    そんなWildberry店主オガワ的ミシンのお話でした。

     

     


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